一人睨めっこ
「ぶっ……」

 俺は思わず吹き出した。

『笑うなーっ!!!』

「わ、笑ってない笑ってない」

 俺は必死に笑いを堪えながら言った。

『っ…………』

 優兄も肩を震わせ笑いを堪えているようだ。
 淳は――

『ぶはっ……葛西……はははっ』

 大爆笑かよ!!
 わー、空気読めてない。

 真奈美は近くにあったティッシュの箱を、淳に向かって投げた。

『はは……うおっ!!』

ティッシュの箱の角が、見事淳の額に直撃した。
 日常品が凶器になった瞬間だ。

 痛そう…………。

『ってぇ〜〜〜〜』

 淳は額を押さえて蹲った。

 こんな光景、前も見たような。


『……僕の事、覚えてる?』

 あっ、忘れてた。

「んな訳ないよ! えと――」

 名前……なんだっけ。

『チイラ』

「え?」

『チイラって呼んで』

 さっきの紹介と名前が違うような……。

『あ、チイラって言うのは霊名だから』

 …………霊……。


 やっぱり死んでるのかぁぁぁ!!

 俺は心の中で叫んだ。
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