一人睨めっこ

三節 接触

『高村麗香――』

 全て読み終わった後、真奈美が困惑気味に呟いた。

『麗香ちゃん……!?』

「知ってるのか!?」

 俺は身を乗り出した。

『いや……多分……だけど』

 真奈美は戸惑っているようだ。

『小学校の時……友達だった!!』

「まじかよ……」

 高村麗香……
 本名だと本人が言っていた。
 いや、同姓同名という確率もあるが。

『行こうぜ!! その高村麗香ってとこ』

 淳が勢い良く立ち上がった。

「は――え!?」

『葛西!! 高村麗香の家知ってるか!?』

『え、うん』

『ほら、時間が無ぇぞ! 早く!!』

「お……おうっ」

 俺も淳の勢いに押され、立ち上がった。

『葛西、案内よろしく! ここから近いか!?』

『うんっ!! 10分くらいで着くよ』

 真奈美も立ち上がった。

『じゃあ僕達も行こうかな〜』

 駿兄が寝ている優兄を叩き起こしながら言い、立ち上がった。

『ん〜何だよ…………』

 寝起きの優兄を駿兄は慣れた手つきで立たせた。

『暇だし、行こう』

 チイラが呑気に言った。

「よし!」

 俺達は家を飛び出した。

 日没が近づいている。
 
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