銀盤少年

仁の方は(実際どうかはわからないが)色々と割り切っているようだけど、狼谷は未だに縛られている。


狼谷に仁のことを告げるかどうか。それが俺の一番の悩みの種。


母さんが入れた高級紅茶を一口飲む。


そういや朝飛ってロンドンに住んでたから、紅茶とか詳しいのかな?


なんてどうでもいいことを考えていると、ヒロが言葉を発した。


「言ったとしても言わなかったとしても動揺するのは目に見えてるし、だったら言わずに練習に集中させた方がいいんじゃない?
第一、仁君が復帰を目指して練習を続けていたことはケンちゃんも知っていたはずだし、こういうことが起こるのも覚悟しているはずだ。
それでも演技に支障をきたすようなら、フリーの滑走をカズと代わればいいだけだし、なんとかなるでしょ」


「俺が言ってるのは大会のことじゃなくて! こう、二人の関係というかなんというか……」


「前にも言ったけど、これは二人の問題だから、部外者が変に立ち回ったら余計ややこしいことになる。俺達は温かく見守って、二人が助けを求めたらそっと手を差し伸ばせばいいんだよ」


優雅に紅茶を飲みながら、俺の反論を意図も容易く受け流す。
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