銀盤少年

単刀直入に聞いた方が手っ取り早い。


渋い表情のまま一旦リンクサイドに戻ると、自分の荷物から一枚の紙切れを取り出した。


A4用紙の白い紙。


それを突き出したので受け取ると、その用紙には橋本杯の参加者名簿が記載されていた。


以前学校側に届いたのは、参加チームにだけ配られた関係者用の資料。


その時点で主催の日本スケート連盟のHPには、大会概要だけで参加選手の資料は発表されていなかった。


公式HPに参加選手とチームが正式に発表されたのはつい先日。大会の一週間前。


知ってしまったのか。仁君のエントリーを。


「なんで黙ってた。俺が動揺して逃げだすとでも思っていたのか」


あーうん。半分正解。


こっちがケンちゃんのことをお見通しなら、あっちも俺のことをお見通しというわけか。


正直に謝ると、ケンちゃんはチッと舌打ちをし、用紙を丸めて乱暴に鞄へ投げ捨てた。
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