銀盤少年

「余計なお世話だ。今更動揺なんてしない」


「でも……」


「寧ろ好都合だ」


「え?」


てっきり散々怒られると思っていたのに、まさかケンちゃんの口から「好都合」という言葉が出てくるとは予想していなかった。


ケンちゃんは不敵な笑みを浮かべると口を開く。


「いつかはケリを付けなちゃなんねーんだ。今まで散々逃げてきたけど、これで逃げ場は無くなった」


ケンちゃんは言う。


「真正面から向き合うには今しかない」


それは、俺がケンちゃんに放った言葉。


あの日、SP対決の時、夕暮れに染まる中で放った言葉。


逃げるな。真正面から向き合え。向き合わなきゃ失礼だ。
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