銀盤少年
「俺は納得したけど……狼谷はどうだ?」
「問題ない」
ハッキリキッパリ言い切りやがった。なんの迷いもなく速効で。
「後で不正がどうのって騒ぐんじゃねぇぞ」
「ヒロノはそんなことをしない」
あらあら、随分ご信頼を置いているようで。
でもヒロとの付き合いは狼谷の方が長いんだよな。
草太は真面目な性格だし、優希は思ったことをドストレートに言う奴だから、ヒロの方が良かったら「良い」とハッキリ言うだろう。
寧ろアドバンテージを失った俺の方が不利か。
「さっさと始めるぞ」
狼谷はリンクの中央に向かい、俺は邪魔にならないようにリンクサイドに下がる。
リンクのほぼ中央に佇む狼谷。草太が奴の用意したCDをラジカセにセットすると、リンクに音楽が鳴り響いた。