銀盤少年
高難易度のジャンプをバシバシ決めて、スローパートに入る。
小さな円を描くようにターンを織り交ぜながらリンクをぐるりと一周する。
ブランクがあるとはいえ、やはりスケーティングは衰えていない。
何気ないターンもエッジを深く倒してこなしている。
指先の関節まで意識した振り付け。それだけじゃない、上半身もステップに合わせながらしなやかに大きく使って踊っていて、自然とその演技に引きつけられる。
魅せ方をわかってる。どのような振りが綺麗に見えるか、どのポーズがこの曲のスタイルに合っているか。
表情は薄らと微笑を浮かべているが、瞳は獣のように鋭くこの場にはいないジャッジ達に向けられている。
ただの練習着なのに、こんなにも輝いて見えるもんなんだ。
緩やかなステップを終えると、いきなり両足をクロスさせて真上に跳び上がった。
3Lo(ループ)。六種類のジャンプ中で三番目に難易度の高いジャンプ。
今シーズン(フィギュアスケートは七月から新たなシーズンに入るのだ)のステップからの三回転は、ループジャンプが指定されている。