銀盤少年
これでも一応元経験者。ジャンプをキープすることが如何に難しいことかはわかっているつもりだ。
毎日欠かさず練習している選手ですら、身体の成長や体調などによって、今まで跳べていたジャンプが跳べなくなる。
どんな天才だからって、なんの苦労もせずにたまたま跳べるようなものじゃない。
「引け目を感じてやめたんなら、それは間違ってるよ」
ケンちゃんの足が止める。
再び絡み合う視線。怒りに満ちた鋭い瞳を、俺を逸らさず真っ直ぐ見詰め返す。
「ケンちゃんは本気であの子と向き合ってない。本当に申し訳ないと思うんなら、その子のためにもスケートを続けるべきだ。自分の気持ちに嘘までついて、逃げるようにスケートを止めて、それが罪滅ぼしのつもりなら間違ってる」
「お前に何がわかるっ!」
「わかんない。わかんないけど、俺にだってわかることが一つある」
俺は言った。
「その子は今も、リンクに立ってるんだろ?」