ホストに恋する方法。
2
「しんどー…」
「どうしたの?カレン珍しく静かじゃない?」
「二日酔い…」
 

昨日結構飲んだみたいだ。
頭がズキズキする…
 
「カレンさん。ご指名です」
「はぁーい…迎え酒っすねー」
冗談めかして言いながら、あたしは席を立った。


「いらっしゃいませ」
極上の微笑み。極上の美辞麗句。
それがあたしのお仕事。
奇麗に着飾って、優雅に髪を巻いて、精一杯媚を売る。
大好きで大嫌いなこの仕事。

 
「カレンちゃん。会いたかったよ」
そう。ありがとう。
あたしは別に会いたくなかったけれど。
男って本当に馬鹿。
馬鹿で汚くて愛おしい。
だから精一杯騙してあげる。




「あれ?」
仕事が終わって。
あたしはやっと携帯がない事に気がついた。
お客さん用の携帯があるから仕事中には気づかなかったけど、プライベート用の携帯がない。
「ベタベタやん…」
 
お客さん用の携帯に自分の番号を打ち込む。

 
ルルル…ルル…


考えられるとしたら今日の朝だな。
寝ぼけてたし、忘れて帰ったとしたらあの男の家。
嫌だなぁ…
もう会う気ないのに…

 
「もしもし」

 
男の子の声だった。
 
 
「ごめんなさい。それあたしの携帯なんだけど…」
「あ、カレン?やっぱりそうだったんだ」
「返してほしいんだけど…」
「あ、持って行こうか?今どこ?」
「今、昨日飲んだバーの近くを歩いてるけど」
「持って行くよ。ちょっと待ってて!」
「え、でもこんな時間…?」
「大丈夫。俺も近くにいるから」
 

言われるがまま、あたしはバーで待つことにした。
 
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