学園奉仕活動
「おっ、百太郎!今日も遅刻?」


教室に入るなり、大きな瞳に長い睫毛、高い鼻に彫りが深い、眉毛やモミアゲなんかの毛も濃い、俗に言う濃い顔である、坊主頭の男子生徒が声を掛けてきた。


「そうだよ〜ゴリラ君。で、次何時限目だっけ?」


濃い顔の生徒に言葉を返しながら、窓際の一番後ろの自分の席に向かう。


「ゴリラ言うな、お前」


ゴリラ君は、俺に付いてきながらも否定する。


「だから、ゴリラ言うなってっ!」


「はははは、心の声に否定って、お前。ははは――――はあっ!?」


「ど、どうした?いきなり・・・・・」


机の上に置いた鞄を開けた途端、悲鳴の様な声を上げた俺に、ゴリラ君は驚いた顔を向けてきた。


「ゴリラ言うなって、お前」


「そんな事はどうでもいい。ヤバいんだ・・・・・・・果てしなく・・・・・・ヤバいんだ・・・・・・」


「なにが?どうしたん?」


「教科書・・・・・・」


「教科書?」


「全部・・・・・」


「お前・・・・・マジで?」


「忘れた・・・・・・」


「嘘やろっ!?お前、ほんま?!マジでっ?!」


「うん・・・・」


「ははははは、お、お前、何しに来てんねん」


ゴリラ君は、爆笑しながら人の机をバンバン叩く。

「お、おいっ、ゴリラ言うなって、ははははは」

「・・・・・・・・・」


くそっ、次のが日休みだからって、舞い上がり過ぎたぜ


何故持って帰ったんだ、土曜日の、俺


何故持って来ないんだ、月曜日の俺・・・・・。


「か〜く〜な〜る〜う〜え〜〜波ぁーーっ!!」


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