君の檻から出されたなら。
俺はなんて愚かだろうか。
「…っ………」
こうして、
手の届く距離にくるまで気づかなかった。
彼女の瞳が涙で溢れていることに。
「…紫羽………」
抱きしめるまで気づかなかった。
震えているこの肩にも。
「ごめんな……ごめん、紫羽」
どうしてもっと早く気づけなかった?
「俺は君のいるこの部屋から見る空が一番好きだ」
抵抗もせずに、俺の腕の中で静かに涙する彼女が
こんなにも愛おしいのに。