校舎と夕日の間から
落書き

部屋を出るときにゆかりが俺を呼んだ。


「2時にお化け屋敷集合!」


耳元でそう囁いていたずらっ子のような顔で笑った。



感謝…!!




荒木や、その友達数人に腕を掴まれて、俺はお化け屋敷に連れて行かれた。


俺を好きだということが有名な荒木の狙いは想像がつく。



「先生、一緒に入ろうよ~!」


「俺、お化け屋敷苦手なんだよ…」



気が進まないが、断ることもできそうにない。



でも、その時ゆかりの言った言葉を思い出す。


あとで、直とお化け屋敷に入れるかも知れない。


それなら、ここは素直に荒木の言うことを聞いておこう。


変に勘の鋭い生徒で、俺の微妙な心の揺れまでも見破るんだ。


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