【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-
…そうかな?
穂見くんの方が、多忙そうだけど…。
だって、色々頼りにされてそうだもん。
優しいし、頭いいし、カッコいいしね。
窓の外を眺め続けている穂見くんに、笑みをひとつ零す。
「………ひな?」
…でも涙が止まったのもつかの間、私はすぐに聞きなれた声に反応してしまった。
しゅ、舜くん……。
声かけられてるのって、私だよね?
しかも、『ひな』って…。
…気付いたのかな…。
ビクッと肩を揺らして俯くと、強く腕を掴まれて振り向かされる。
「おい、ひな」
そこには、さっきと変わらない舜くんの姿が。
なんで声かけてきたの…?
さっきの女の人と、そのまま出て行ってくれればよかったのに。
あんな場面見た後で、すっごく気まずいよ。
…とは思いつつ、無視するのもなんだか悪いから、舜くんに笑って見せた。
「偶然だね!珍しいね、こんなところで会うなんて!」
本当、なんで今日に限って…。
偶然、珍しい、こんなところで会うなんて…。
自分で並べた言葉に、落ち込む。
いつも、外では滅多に会わない。
というか、今日初めて舜くんと外で会った。