神崎探偵事務所へようこそ!!

  ◇  ◇  ◇  ◇


その2日後。
勅使河原権造と芹沢忍は不正献金受給の疑いで逮捕された。それから連日はニュースとワイドショーではヤクザと政界の黒い疑惑についての話題で持ちきりだ。



いつもの美優送迎係に陸が旅立った後、美樹とレオンは聖哉と総一郎、そして律子にこっそりと耳打ちをした。



「クルセイドはDr.シュウの娘を探してる。」


そう口を動かした瞬間


「へ~~ぇ。ようやく動き出したか。」


聖哉はニヤニヤと笑い始めた。


「ま、想定内と言えば想定内ですね。ヴィーナスとDr.シュウは切っても切れない関係ですからね。」


ネクタイを締め直しながら総一郎がふふんと笑う。




「どこまで掴んでる感じなんだい??」


律子の問いかけに


「さぁ?よくはわからないけど日本に照準を合わせてきたのは事実だよネー。」


レオンはサラリとこんな言葉を口にする。



その言葉を聞いて肺に吸い込んだタバコの煙をフゥと思い切り吐き出すと


「油断大敵ってことだね。
あんた達、今まで以上に気を張って過ごすんだよ?」


律子は子ども達全員の顔を見ながら、神妙な面持ちでそう言った。




「美樹。」

「なぁに??」

「とりあえず大老に連絡入れときな。ヤバくなったら動くと伝えて。」

「⋯⋯了解。」



こんな風に穏やかに過ごせるのは、あともうわずかしかないのかもしれない。律子は窓の外を眺めながらそう思った。
< 229 / 248 >

この作品をシェア

pagetop