マイハニー
布団越しにママの声が聞こえる。


「たたんだ洗濯物、置いておくわねー」

「あ、ありがとう」

「どうしたの?もう寝るの?」

「いや、ちょっと疲れが出たみたいで」

「具合が悪いの?」


ママが近寄ってくる気配がする。


「や、平気だから」

「毛布もっと持ってこようか?」

「大丈夫だって」

「ホント?じゃぁ何かあったら言ってね?」


ママは部屋を出て行く時に「電気消していくね」と言って部屋が真っ暗になるのが
布団の中からでもわかった。

私はごそごそと布団から這い出して、お兄ちゃんに抱きついた。


「焦っちゃったね?」

「・・・」


私がお兄ちゃんの穿いているスウェットに手をかけようとしたら
お兄ちゃんがそれを制した。


「なんで?ここ、こんなになってるよ?」


私がおどけながら撫でたら、
真面目な顔をして、その手を払われる。


「自分の部屋に戻れよ」

「・・・・」

「やっぱ・・・マズイだろ?さっきの状況とか・・・わかるだろ?」

「・・・わかんない」


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