カンボジアのコト

・・・って誰が言った

電車に乗ればこっちのもん…なんて誰が言った。
バスの調子が悪いのか、人が多いためか、ただ単に運転が下手なだけかブレーキをすぐ踏む。
なので、2時間バスに乗る予定なのだが、止まっている時以外、背もたれに背中をつけて座ると3秒に1度程度体が前のめりになる。
まだ30分もたってないのに、姉さんが「気持ち悪い・・・」とねをあげた。
すでに満席に近いのに、私達が乗ってからもバスはいくつかバス停に止まって人を乗せる。
予約の人がいますからね。
でも、バス停には、バスを待つ人の行列が。バスのステップに乗り、乗せてくれと懇願してくる。運転手さんが断り、降りてもらうと、また別の人が乗ってきて、乗せてほしいと懇願するのだ。誰が頼んでもダメだって。
あるバス停で予約のある人を乗せていると・・・。
「山田です。」といって乗ってきたお婆ちゃん。
「すみません・・・。山田様のお名前はご予約されておりません・・・別の便ではないでしょうか・・・。」
運転手さんが丁寧に対応すると
「ご予約しとらんと、お前は乗せんのか!!」
と、山田さんが突然開きなおる。
「今日は満席でして・・・。」
やけに腰の低い運転手。
「ここ、あいとるやないか!!」
予約と書かれた紙を置いたシートをさす。
「これは・・・ご予約されたお客さまの席でございます。」
「なんやの!!あんたは、客を差別する気か!!」
差別ってあんた・・・。
「うちは、飛行機に乗らんとあかんのや!!」
それは、乗れなかったお客さんの中にもいるだろう、しっかりせぇよ運転手。
と、優しく心の中でエールを送っていると、
気分が悪いと、沈み込んでいた姉さんが起きた。
「予約してない、おばさんが悪いんでしょ。早く降ろしてバス出しなさいょ。私行ってこようか。」
姉さん落ち着いて!!皆で姉さんを押さえた。
「とりあえず、ここ座るで。」
とりあえずもくそもあるか。
「ですから、お客さま、ここは秋本(仮)様のお席でございます。」
客の名前を言うヤツがあるかっ。
「秋本か!?それは、うちや!!座るで。」
あんた、山田言うたやろ。
「はよ出し!!もたついとらんと、バス遅れとるんやから!!」
運転手さんは、泣きそうな顔になり、バスを出しました。
出しちゃうの!?


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