カンボジアのコト

全力疾走

結局、バスは1つ席が足りない・・・なんて事にはならなかった。
やっぱ何かあった時のために、余分に席とってるのかな、と疑問を残したまま空港に到着した。
1時間遅れで。1時間遅れ!!
おばちゃんを乗せてしばらく、携帯電話の振動音が。
とても真面目そうな花田さんが、驚いた顔をして、周りから身を隠すようにし、携帯電話に小声で出た。
「はぃ、みんな居ます。でも、まだ到着しそうにありません。」
あぁ、高木先生からか。
でも・・・なぜ高木先生は、彼女をチョイスした。
先輩である、姉さんや、なっちゃん、私をその他と飛ばした。
「やっぱ・・・信頼度じゃないですか?」
と、花田さんよりも先輩で、私達よりも後輩の秋山さんがのんびり答えた。
なので、私たちの感心はそっちに行ってしまった。
バスを降りて、大急ぎで空港の中に入った。
空港広っ。どこに行けばいいの?
なっちゃんが、掲示板を見に行った。
「カンボジアに行く飛行機なんてないよ?」
「そんなはずないでしょ。」
姉さんが、掲示板に近づきながら言った。上海だか香港だかに住んでいたこともある姉さん。
この中では国際線経験が豊富です。
私は掲示板の見方なんで分かりません。目視で先生を探す。
「乗り継ぎがあるんじゃない?私たち今からどこ行くの?」
と、姉さんが私たちを見回した。
「あ、しおり見る?」
私はカバンからしおりを出そうと、荷物を床に置いた。
「タイです。タイで乗り継ぎです。」
花田さんが言った。
そんな1時間前。これでも、焦ってます。
掲示板を見ながら「Fね。」と姉さんが言った。
「こっち!!」
誰かが言った。
全員スーツケースを前に持ち、低姿勢でゴロゴロゴロと押して走る。
途中ではっと顔をあげて気づいた。
「真逆だよ!!」
「戻れ!」
方向転換し、再び、低姿勢でゴロゴロゴロと、6人が集団で走る。
2時間前には空港にいましょう。
今からどこに行くか知って空港にいましょう。
空港内で走るのはやめましょう。

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