カンボジアのコト

勘違い

最初に行った建物に戻って、
彼女…トイと、彼女のお母さんと少しお話します。
現在14時。
出発予定時間から1時間過ぎています・・・。
うん、予定通り!!
出発の時、荷物オーバーした原因の1つである、
お土産を渡す。
洋服やら、ノートやら色々。
彼女の顔は、みるみる強ばってくる。
「どうした?」
ハーマンが聞く。
女の子は、『うんん』と首をふって、ありがとうございます。
と丁寧にお礼を言ってくれた。
そっかそっか。
「私からもお願いがあるの。絵を描いて。それを、大切に持ってかえるから。」
ハーマンが通訳すると
ん?と女の子が首をかしげた。
ハーマンが苦笑いしているので、何て言ったの?と聞いた。
「私、今日、連れていかれるのだと思った。」
と女の子が言ったらしい。
…?どこに?
「私の家は貧しいから、これでお母さんが私を売ったのだと思ったの。」
私が渡した荷物を指差して言った。もちろんカンボジアの言葉で。
忘れてた…ここは、こういう国だった。
「違うよ。お母さんの側に居ていいの。私は、あなたが学校に行って、いろんな事を勉強してほしいだけ。分からないと思うけど、いつかは、勉強が必要だったと分かる人になってほしいの。」
と、言うと、安心して絵を描きはじめた。
そして私の顔を見て、何事が言った。
その場の全員が少し寂しそうに笑った。
ハーマンを振り返ると、
「次はいつ来てくれますか?」
と、寂しそうに言った。
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