カンボジアのコト

最後

「嫌い」という意味で、お前に会うのは、最初で最後だ!と思うことはあっても、
「好き」であって、会うのが、最初で最後という出会いって、なかなか無いと思う。
私は、そういう国に生まれた。
会いたい、会いたいと願っていれば、なんとかして行動にうつせば会えるのだと思う。
でも、私は、彼女に会うことは無い。
最後のお別れの時に、もう一生会うことが無いということを知らないトイが言った。
「私は、次に会うまで、あなたの、鼻の形は、忘れないわ。」
「…………鼻??」
通訳しまちがえてないか?
再度ハーマンが聞いて答える。
「鼻です。」
「なんで鼻?」
ハーマンが彼女に聞く。
「私が出会ったなかで、あなたの鼻の形が一番素敵。」
なんだそうな。
………鼻ねぇ。
初めて言われたよ。今度からチャームポイント鼻って書いておこう。
「後、あなたの肌の色と、ほっぺたがあれば、私はこの村で一番キレイになれる。」
キレイにやっぱり感心があるんだ…そうだよね。女の子だもん。
なんやかんやで、帰るはこびとなった。
母親の前に、女の子が立ち、母親が女の子の肩に手を置いて、
私達を見送りに出て、私は、車に乗り込もうとしていた。
すると女の子が母親や見送りから離れて、私に近寄ってきて、
ハーマンに何事が言った。女の子は、合掌した。
どうやら、通訳してとハーマンに頼んだようだ。

「あなた達が出かけている時に、あなたの事を聞きました。時々届く手紙の意味も分かりました。私は、お母さんに生んでもらい、命をもらいました。そして、あなたに生活を助けてもらい、生をもらいました。大切にします。ありがとう。」
そうコソコソと言って、母親の元にかけもどった。
私が救われた気がした。
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