♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
授業が終わると、荷物をまとめて立ち上がる瀬戸内。

唯香ちゃんは、クラスの女子に話しかけられて振り返る。

理科室を一人で出ていく彼の姿が見えた。



瀬戸内を追いかけたい…

だけど、まだ声をかける勇気はない。

教科書を抱えて、迷いながら席を立つあたし。



「ねぇ、唯香ちゃんどうなの?」

「…何?」

「唯香ちゃん、瀬戸内君といい感じだって、みんな言ってるよ」

「本当に?」

立ったまま話し込んでる唯香ちゃん。



「唯香ちゃんって、瀬戸内君と付き合ってるの?」

聞こえてきた質問に、足が止まりそうになる。

だけど、聞こえないふりをして通り過ぎた。



「ここだけの秘密だよ…
あたし、貴斗と付き合ってるの」

思わずハッと振り返るあたし。

唯香ちゃんとあたしの視線が重なる。

唯香ちゃんは、上目遣いで微笑んだ。
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