碧眼の天姫―刀の後継者


「…艶乃(ツヤノ)……」


机の上に飾られた女性の写真に優しく触れる。


「お前は私を恨んでいるのだろうな…」


―ポタッ


写真の上に涙の雫が落ちた。


「勤めとはいえ………
お前を売った私は罪人だ…」


自分の愛した女性を…
愛を呟いた女性を売った…


白蓮家に生まれた人間として、その長になる者として…


天姫である彼女に子を産ませなければならなかった。


私と彼女の間には子は出来ない。
私が不妊の原因だったからだ。


「そうするしかなかった…」



結局…私には覚悟がなかったんだ。彼女を奪う為に、家の規律、使命、宿命から逃げ続ける覚悟が…










< 128 / 330 >

この作品をシェア

pagetop