碧眼の天姫―刀の後継者


―サラサラサラ…


鬼の体が砂のようにサラサラサラと消えていく。


それを黙って見つめた。


命が消え行く様は残酷な程に美しかった。




―ピキンッ


あたしの力が消え、服装も刀も姿を消した。



「これで…良かったんだ…」


良かっんだ…よね…?



望んで鬼になった…
望んで鬼を殺した……


力を制御出来ずに兄様を…殺めてしまった…



あたしはもう…戻れない…



「…天宮…さ……?」


目を覚ました千年が立ち上がる。あたしは咄嗟に背を向けた。



血が…付いてるから…



「その…血………」


背を向けたところで隠せるような量じゃないのは分かってたけど…


こんな姿…見せたくなかった…



「怪我…した…?
ごめ…俺……守れ…くて…」



千年の言葉にあたしは目を見開く。それからほっとして笑みを浮かべた。


そのまま振り返って笑顔を向ける。


「…本当…優しいね…千年」



今度は千年が目を見開く。


「………美琴…ちゃん…?」



千年の言葉にあたしは小さく笑って首を傾げた。



「あたしは天宮 美琴。
つい最近転入してきた転入生だよ…萩原君」


千年、美琴ちゃん…
そう呼び合ってた頃のあたしはもう死んだ。


これからは鬼として…
人を…千年を守る刃になる。



最後には…あたしもこの命を終わらせる。



もう二度と…この人を悲しませたくない。


こうする事が……最善なんだから…









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