碧眼の天姫―刀の後継者

その手が触れ合う時



―ピキンッ


「っ!!!」


再び訪れた鬼の気配にあたしは周りを見渡した。


血の臭いに釣られたか…


血を流しすぎた……


先程まで母様がいた場所を黙って見つめる。


「母様………」


守れなくてごめんなさい…


あなたは命を賭けてあたしを救ってくれたのに…
何一つ返せない私を
許して下さい…



「天宮さん…その刀…は…?」



今、刀の存在に気付いた千年が目を見開いたまま尋ねる。


迂闊だった…
千年に刀を見られた…


鬼はもう間近。千年を逃がす時間も無い。


今此処で戦う事が…
最善の行動だから……


「…ごめん…千年…」


謝る事しか出来ない…









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