碧眼の天姫―刀の後継者


「おいしい…………」


甘くて優しい味……
ケーキってこんなに甘くておいしいんだ…


「美琴ちゃん、目がキラキラしてる。喜んでもらえて良かったよ」


今度は千年がケーキを一口食べる。


「ちょっ…そのホーク…」



あたしが口に入れたやつなのに…


間接キスなんじゃ……


「可愛いなぁ美琴ちゃん。そんなに恥ずかしい?」


赤くなってるだろうあたしの顔を千年がジロジロと見てくる。


「…何……?」


そっぽを向いてぶっきらぼうに答えるあたしの頭を千年は優しく撫でた。


「前の美琴ちゃんも好きだけど…今の美琴ちゃんの方がもっと好きだよ…」



前のあたし………
それは千年を遠ざけてたあたしの事…?


今のあたしは……
どんな風に変わったんだろう…


「はい、美琴ちゃん」

「…ん」


差し出されたケーキを素直に食べる。


今まで知らなかったこの温かい時間が終わらなければいい…


そう願わずにはいられなかった…







< 93 / 330 >

この作品をシェア

pagetop