いつもの場所

彼は
「寒いね」
と言って横に座った。
私も
「寒いね」
と言って隣に寄り添った。
彼は私を抱きしめてくれた。
温めようとするように。
「今日は疲れた。」
抱き合ったままだったけど、私は気にせず話し始めた。
「僕もだよ。」
彼は言った。本当に疲れてる声だった。
「ずっとがまんしてたんだよ。」
「何を?」
彼は私をイジメるのが得意だ。
「キス」
やっとのことで私は小さく返事した。
「僕もだよ。」
彼はまた言って、今度はメガネをはずした。
間違えなくキスのサインだ。
私は彼の頬にキスして、
「してもいい?」
と、いつものように聞いた。
「うん。」
と、彼もいつものようにうなずく。
ずいぶん長いキスだった。
「今ので何回?」
「6回だよ!」
私は何気に数えてました・・・すんません。
「じゃぁあと1回で中学生の平均超えるね!」
彼は嬉しそうに言う。
「じゃぁもう1回する?」
私は提案した。
「うん。」
私たちはもう1度長いキスをした。
「長いよ。」
やっと唇が離れた時、同時にそう言って笑った。
こんな日が、死ぬまで続けばいいと思った。
それからあと1回!あと1回!って2人で言って・・・・
結局20回した。
今までとあわせて25回。
多いなぁ。
でもあっというま。
幸せなのはいつだってあっという間だ。
帰りに見た空は、吸い込まれそうな星空だった。


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