【短編】間違い電話
1Coll 遠方にいる好きな人
「琴也、引っ越しても俺達友達だぜ?」



「おう!」



琴也君の親友の祐輔君がお別れの言葉を言っている。



今日は琴也君が引っ越す日。クラスの人気者だった琴也君はいつもみんなの中心にいる子だった。だから、今日はクラスのみんなが琴也君の家に集まっている。



あたし、月原 琉乃【ツキハラ ルノ】は今にも泣きそうになりながら笑ってる。何で泣きそうなのか?って?それはあたしの好きな人だから。でも、好きな人の前で、最後のお別れだと言うのに泣けない。だから、我慢してる。



でも、周りの子達は我慢できずに泣いてる。泣いてる子たちの殆どは琴也君の事が好きな子たちだろう。



「琴也人気者ー!」



琴也君の弟の明哉君は琴也君を茶化している。



「みんな琴也の為にありがとね」



琴也君のお母さんは泣き笑いでお礼を言っている。



「琴也は幸せ者だな!琴也、そろそろ車に乗れよ」



琴也君のお父さんはワハハッと豪快に笑いながら、車の運転席に乗る。その後に琴也君のお母さんも助手席に、明哉君は後部座席に乗った。



琴也君達は車で高速道路に乗り、引っ越し先に行くらしい。



「じゃーな!」



琴也君のは後ろ向きに歩きながら手を振って、その後、踵を返して車に乗った。



「向こうで頑張れよ!!」



「また、遊びに来いよ!」



「琴也君、またねー!」



「琴也君、バイバーイ!」



それぞれが思い思いの言葉を口にする。そして、琴也君はその言葉を聞きながら、出発した。



< 1 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop