独:Der Alte würfelt nicht.
「まったく…それで?学園生活はどうなんだ。友達が出来て離れるのがさみしいとか言い出さないだろうな」
「…作ろうと思ってないから。対人関係ほど面倒なものはないのよ。当分は不要だわ」
「それはよかった。変な虫がつかれては困るからな」
「別に、仕事のほうはちゃんとやるわよ。プライベートと仕事はきっちり分けるわ。分別がつかなくなるほど子供じゃないのよ?」
ティーカップを置き、まるで商談をするようにレイへ視線を向ける。
今日ここに訪れた理由は唯一つ、私の起こした事件の責任をとるためだ。
彼は私に責任はないというが、事を起こす原因を作り出したのは私。
知らなかったと、そっぽを向けるほど私は卑劣でもなく…勇気もなかった。
「そういう意味じゃないんだよ、アリス。それに第一エリアパンドラエース国立大学の研究チームのリーダーが弱気なことを。嗚呼、元、だったな」
「む。私だってお年頃の女の子なの。打たれ弱いし、儚げ。…って聞いてないし」
「確かに。時の天才少女も今では落ちゲームと庶民派アニメに明け暮れる日々だもんな」
「慰めてくれてるの?馬鹿にしてるの?後者ならこの熱湯をぶちまけて――ッ」
「や、やめなさい。もし顔にでも掛ったら世界中の女性たちが悲しむだろう」
世界最高の処理能力を誇る国の名前を許されたパンドラのシステム。
そのシステムの一部を間借りすることのできる空間“パンドラボックス”。
パンドラを構築した技術者がプログラムテストに使っていたらしく、発見した時には莫大なデータ量に吐き気さえした。
それを数カ月かけて整理し、セキュリティ面も見直しながら新たに構築した仮想都市。
“パンドラ”を模して作り上げた“パンドラの箱”は今や生活には欠かせないシステムとなった。