愛なんかいらない 〜キュート過ぎる部下〜
「祐樹、私行きたくない……」


志穂は目だけを動かし、祐樹を見て言った。今にも泣き出しそうな顔で。


「志穂さん、そんな事言わないでくださいよ。おやじ達は俺がなんとしても説得しますから」


「そうよ。あたしも加勢してあげる」


「アリサ、ありがとう。でも、お父様は私なんか、受け入れてくれるわけない……」


志穂は、祐樹の父親に会った日の事を思い出していた。自分を見る祐樹の父親の、冷たく射るように鋭かった眼差しを……


「祐樹、あんたはダディと話したの? 志穂さんの事」


祐樹は首を横に振り、

「姉貴は?」

と逆に聞くと、

「あたしもしてない。最近のダディ、機嫌が悪いのか何だか知らないけど、話をしてくれないのよね……」


と杏里沙は言った。


「俺とも、なんだよなあ」


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