こままもっと
「優衣穂?俺だけど…。」
久々に聞いた声は遠慮がちだった。
「う、うん。久しぶり。」
何を言えばいいのか分からなかった
ので、とりあえずそう答えた。
「久しぶりだな。」
沈黙が続く中、拓実のため息が
聞こえた。
そして、息を吸い話し始めた。
「優衣穂、俺のこと信じてとは言わない。
けど、俺の事は嫌いにならないで…。」
初めて拓実の弱音を聞いた気がした。
「ふふっ。ちゃんと、信じるよ。
大好きだから…。大丈夫だって、思ってる。
嫌いにも…なっなんないよ?」
って、何泣いてんだろ。
泣きたいのは拓実のはずなのに・・・。
「泣くなよな。お前が泣いたらさ、
俺まで辛くなる。」
だから、泣かないでくれよと、拓実が言った。