モノクロの音色よ鮮やかに響け
「俺にはお前が見える。
若くて、健康で、明るくて、よく気が付いて、優しい…魅力にあふれたお前の姿が…」
「川畑さん!」
私の制止も聞かず、川畑は続けた。

「俺には、何もない。
自分で築いた家もない。金もない。
才能さえも全て、親の七光りと言われ…!」
川畑は声が大きくなった事に、自分で驚いたように唐突に言葉を切った。

荒い息を整えて、静かに言う。
「俺には光が何もないのだよ…」

私は泣きそうだった。
川畑が、こんなに真剣に考えていて、こんなに激しい想いを秘めていたなんて、本当に思いもしなかった。

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