モノクロの音色よ鮮やかに響け
「すまない。もう、お前に当たったりしないと決めていたのに…悪かった」
川畑は言葉を絞り出すように謝った。

「ベッドへ」
私は車椅子をベッドサイドまで押して止めた。
自分でベッドをフラットにして戻った川畑は、
「悪いが一人にしてくれ」
と言って布団を被った。

私は、このまま黙って川畑を一人にしたくなかったが、何て言葉をかけていいかわからなかった。

「また、来ます」
とだけ言って、部屋を後にした。

光りあれば影が出来るように、七光りがあればその分、闇も深いのだろうか。
川畑の、闇に触れた気がした。
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