モノクロの音色よ鮮やかに響け
声で誰だかわかったのだろう。
「知り合いですか?」
川畑は頷いた。
「中学二年の時に担任だった、服部先生だと思う」
「ハットリ…確か教頭先生の名前も服部だったと思います」
川畑は憶測が確信に変わって、何か考え込んでいるようだった。

中学二年といえば、川畑が目を患った頃だ。
随分トントン拍子に決まったと思っていたが、当時の担任が今は教頭先生になっていて、川畑をピアノ担当の非常勤に推してくれたのかもしれない。

「こんな形で再会するとは…」
川畑は独り言のように意味深に呟いて、私は知りたい好奇心でウズウズしたけれど、簡単に聞けるような雰囲気ではなかった。
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