モノクロの音色よ鮮やかに響け
普段外に出ない川畑は、何と言うだろう。
渋るかもしれない。
でも、この春の気持ちの良い日に外に出れたら…

私は不安と期待を胸に、昼休みに川畑に話しかけた。

BGMは『華麗なる大ポロネーズ』
オーケストラ曲の時は、気分が悪くない。

「川畑さん…すっかり春ですね」
私の変な前置きに、川畑はクスッと笑う。
「どうした?」
「午前中に掃除が終わったので、あと買い物だけなんです」
「早退願いか?」
いぶかし気な声。
「いえ…あの、外が暖かくて気持ちがいいので、一緒に庭を散歩しませんか?」
川畑はビックリしたようで、一瞬黙った。
沈黙が長く感じる。
川畑が頷いた。
「…いいだろう」
やった!
私は嬉しさに心の中で跳びはねた。

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