Tricksters
その時、バチンと何かが切断されたような音がして
周囲が暗闇に包まれた。
非常灯もない。
本物の真っ暗闇に、俺の心臓もドクンと跳ね上がる。
「なんだっ!?」
アイツが指定してきた時間ってこのためか!
マジで洒落になんねー。アイツ本気だ。
俺は、扉が閉まらないようにピザを投げ捨てて扉を押さえた。
「何をしている! 明りを!」
「どうして電気が消えた!」
部屋の中はパニックになっている。
この扉はオートロックだ。
停電時に閉まれば開かなくなる。
だから、アイツは……
こんなことに俺を?
ムカつく……
「やぁ、淳一。元気だったか?」
背後に人の気配を感じて
耳元から聞こえた囁き声。
無性に腹がたった。
「ピザージャのユニホーム姿、似合うよな。トリックスターズ辞めたらピザ屋でバイトしてみたら?」
俺の肩を二回叩くと、ククッと笑う。
「てめぇ……」
この企み、絶対邪魔してやる……
みとけよ。
俺は協力してやるわけじゃない。
最大限に効果的に邪魔してやることに今決めた。