Tricksters

「それじゃ、ショータイムといきますか……」

楽しむような囁き声。

次の瞬間、背後から強い光で照らされた。



「SECOI警備会社の者です! 大丈夫ですか? お荷物お預かりに来ました!」


光は、手持ちの懐中電灯だ。
眩しくて目を細めた、懐中電灯を持つのは所長と高橋くん(仮)と鈴木くん(仮)だ。

三人とも警備員の制服を着ていた。


「大丈夫ですか? さあ、一度通路に出てください!」


三人は部屋の中や足元を照らし、誘導する。


「お預かりする荷物はドチラでしょうか?」

「一体なんの騒ぎだ!?
この荷物は大切なものだ! 支店の金庫に入るまでは同行するぞ! とにかく、明るくなるまで待て!」

「もちろんです。お客様のご希望通りにいたしましょう。我々SECOI警備会社の責任でお届けいたします。しかし、突然の停電でもお客様の荷物を預からないわけにはいきません。我々、警備員の勤めですから」


懐中電灯の飛び交う光で、キャスターに乗せられたらジュラルミンケースが二つ確認できた。




あれが、二十億!?









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