Tricksters


─────まさか、あの二十億で?

俺の前にそびえ立つビルヂング。
Tricksters自社ビル。


最新の建築技術で建てられ、フィーチャネス証券の自社ビルになる予定だった。
それがフィーチャネスの倒産により昨日まで廃墟だったはず。

しかも数日後には、居住用マンションに建て替えられると聞いていた。



昨日は確かに伸びていたはずの雑草が全て刈り取られている。

老いぼれた犬は申し訳なさそうにビルの片隅に繋がれている。



自動ドアがスライドすると、ミエちゃんがだだっ広い受付に一人ポツンと座っている。


吹き抜けのエントランスには、社員たちの活気ある声が響いていた。


「おはよう。ミエちゃん
入り口どこ?」


ミエちゃんは、俺を睨み付けると右側の扉を指差した。


睨まなくてもいいだろ?

引っ越したの知らなくて、偶然たどり着いたんだから。

苦労してんだよ。
俺は




< 294 / 305 >

この作品をシェア

pagetop