Tricksters
─────まさか、あの二十億で?
俺の前にそびえ立つビルヂング。
Tricksters自社ビル。
最新の建築技術で建てられ、フィーチャネス証券の自社ビルになる予定だった。
それがフィーチャネスの倒産により昨日まで廃墟だったはず。
しかも数日後には、居住用マンションに建て替えられると聞いていた。
昨日は確かに伸びていたはずの雑草が全て刈り取られている。
老いぼれた犬は申し訳なさそうにビルの片隅に繋がれている。
自動ドアがスライドすると、ミエちゃんがだだっ広い受付に一人ポツンと座っている。
吹き抜けのエントランスには、社員たちの活気ある声が響いていた。
「おはよう。ミエちゃん
入り口どこ?」
ミエちゃんは、俺を睨み付けると右側の扉を指差した。
睨まなくてもいいだろ?
引っ越したの知らなくて、偶然たどり着いたんだから。
苦労してんだよ。
俺は