Tricksters
「あの作戦で、手を引かなかったこちらとしても……"ちょっとだけ"手痛い手段にでるとこだったから」
「オマエ何がしたいんだよ?」
所長が、書類から顔をあげた。
「俺を捕まえて何がしたい?」
女なら誰もが頬を赤らめてしまいそうな、端正な顔。
少しミステリアスで、人の興味を引く要素は十分だ。
「いい質問だ。答えよう
淳一くん、君に組織的詐欺行為に加担してもらいたい。
というか
もう君は、加担している。
昨日は、ヨシミちゃんと結託してタカシくんを騙した。
付き合ってもいない女と、然も付き合っているかのように装い、二人を破局に追いやった。
結婚の噂まで流れていたタカシくんは、ショックで会社を退職したそうだ。
これは、タカシくんに多大な損害を与えている立派な詐欺行為だ」
詐欺行為?
やっぱり、確かにコイツそう言ってる。
頭がおかしいのか?
「そんなことくらいで会社辞めるなんてタカシくんの責任だろ?
ってか、ここはびっくりぱな売って儲けてる会社じゃねーのかよ? なんでそんな個人情報掴んでるんだよ!」