Tricksters
────やべぇー
頭がガンガンする。
フローリングの床って不便だ。やっぱ畳だろ?
広すぎるマンションも不便だ。寝室が遥か遠い。
布団まで行くのが、ダルい。
俺、どんだけ飲んだっけ?
これだから、日本酒はこぇーよな。
アルコール数15度
こぇー
電気が消された暗い部屋を見渡す、缶の巨大なピラミッドが建設されていた。
所長が面白がって、飲み終わった空の缶を積み上げてたんだ。
酔ってるわりに、手先が正確だ。
頂上まで、綺麗な三角形が完成している。
そのピラミッドの回りには、例の三人がすげぇ格好のまま酔いつぶれてる。
佐藤さんなんか、日本酒のビンを抱えたままで寝てる。
で、
所長とユカリさんは?
ムクリと起き上がって、二人を探した。
その姿は、すぐに見つかりまた慌ててフローリングに伏せる。
二人は、ベランダだ。
ベランダって言わないか、バルコニーて言うのか?
このマンションは、バリアフリーになっていてバルコニーにいる二人の足元まで、よく見えた。
なんで、伏せたかって?
そりゃ……
自分が、邪魔者以外の何者でもないような気がしたからだ。