ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
柚木クンにも笑われて罵倒
されれば、いっそスッキリ
するかもしれない。


そう思ったのに――こんな
時でさえ、彼は、意地悪だった。


柚木クンはあたしの前に
立つとスッと片手を伸ばし、
まだ乾き切らないあたしの
頬をゆっくりと撫でて、


「別に失恋した女の子を
笑うような趣味はないよ。

てゆーか里中さん、誤解してる」


「誤解……?」


頬に触れる指先に少なからず
ドキドキしながら、かすれる
声で聞き返す。


柚木クンは短く頷いて、


「オレは別に、里中さんが
彼氏に振られればいいとは
一言も言ってないよ。

ただ、自分は幸せだって
思い込むのをやめればって
言っただけ」


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