ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
髪はブラウンに染めた
ロングヘアで、肩辺りから
緩くウェーブしている。


仕事柄か天性かは不明だが、
蘭子は知り合った頃と
変わりなく華麗で美しい、
大人の女だった。


そう――彼女が純粋に
“親代わり”だった時間
など、本当に短かった。


今はもうとうてい、亡き
母親と並べて見ることなど
できない。


「別に早まっても問題は
ないでしょ。

明日は出勤するし、荷物を
持ってくるのもその後だけど」


美咲の所から身ひとつで
出てきたから、今は財布と
携帯以外は何も持っていない。


とはいえ、蘭子の所に
戻るのなら、必要な所持品
など実際には特になかった。

ずっと放浪の旅に付き
合わせている、ファズだけだ。


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