ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~《完》
だけど、向かい合って食事を
しながらも、正直あたしは
上の空だった。


せっかくのおいしい料理も、
しばらくぶりに会った拓巳
との会話も、全部が心の
少し横を、すき間風の
ようにすり抜けてく。


……理由はわかってる。


昼間の柚木クンに言われた
言葉が、あたしの中に重い
石のように、鎮座してるから。


(………何なのよ、一体)


何だかもう、頭の中が
グチャグチャでよくわからない。


柚木クンはあたしのことも、
ましてや拓巳のことなんて
これっぽっちも知らない。


そんなヤツが言ったこと
なんて、気にしなければいい。

それはわかってる。


_
< 99 / 469 >

この作品をシェア

pagetop