執事の恋人~召しませ。お嬢様~
唇を離したけど…まだ至近距離に…斗希の顔が見える。


私の顔を映し込む斗希の二つの瞳。


この上ない幸福に満たされるーーー・・・・


他の女に嫉妬していた愚かな自分を恥じた。


斗希から私の手を解いて…立ち上がる。


離れた瞬間から心に暗い影を落としてゆく。



「斗希…もう少しだけ…此処に居て…」


離れようとする斗希のシャツの袖を掴んだ。


唇を重ねて…恋人のようになった時間は本当に至福だった。
ほんの数秒、数分の出来事。


斗希を永遠の恋人にしたい。
私にとってはあまりにも短すぎる時間。


「承知しました…お嬢様」











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