別れの曲を君に(短編)

暗い音楽室。


窓際に置かれている、黒いグランドピアノ。


その前に、男が座っていた。


ピアノを弾いているのは、彼だ。


多分、高校生じゃない。


もっと大人の男性――。


外灯の淡い光に、微かに浮かび上がるシルエット。


なめらかに踊るように鍵盤の上を滑って行く、繊細で長い指。


ああ、良平の指に似ているなぁ。


とても、綺麗。

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