割れた砂時計


『亜実』


「……ん?」


駅を降りて歩いている時。
きょとんとする私に差し出したもの。


「え……」


それは、
ペアリングでした。


『亜実にはピンクゴールドが似合うと思ったから!』


無邪気な笑顔。
涙が、こぼれた。


右手の薬指にはめてくれた。


「私、何も用意してないのに…」


『俺には、亜実がいれば充分だから。……大好きだよ』


「私も……」


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