HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
水月が言いたいことが、電話に出られなかったことを説明しようとしているのはすぐに分かった。それは何だかとても嫌な予感がした。
けれど
「どうしたの?」とつとめて平静を保ちあたしが切り出すと
『うん、実は…』
水月は語りだした。
あたしが電話をする少し前まで、水月は森本さん家に居た、と言う。何で森本さんちなのか気になったが、水月も今日様子がおかしかった森本さんを気にしているんだって思った。
確かに気にしていたのは事実だろうけれど、その前に水月は森本さんのお姉さんと会っていた、と告白した。そこで初めて「何で―――」と言う疑問が浮かんできた。
そこまでのいきさつもちゃんと話してくれた。どうやら森本さんのお姉さんから水月のケータイに電話が掛かってきて、妹が学校から帰ってきたけど何かあったのか、って。てか何で森本さんのお姉さんは水月の電話番号を知ってるの?と口に出したかったが、それより水月の話を聞くのが先だ。どうやら森本さんのお母さんはあたしらのクラスで苛めがあると疑っているみたいだけど、苛めなんてないし。……たぶん。
ハッキリ言い切れないのはそこまでクラスに感心がないからだ。誰が誰を嫌いで誰が誰とつるんで、なんてほとんどと言っていい程把握していない。ただ、森本さんはいつも一人だったことは確か。いつも不機嫌そうにはしていたけれど、周りの目を気にするタイプには思えないし、クラスのボス的な存在の梶にハッキリと物を言うタイプだから、誰かに何か言われても動じなさそう。と言うのがあたしの考え。
森本さんのお姉さんも妹の森本さんにあまり感心がないようで、電話の内容はただ「何かあった?」と言う軽いレベル。その後水月が家での森本さんの様子なんかを聞き、お姉さんに会って話したいと言い出したのは水月の方。
会いたい、と言い出した理由に、単に森本さんを心配して、と言う理由も含まれていたが半分は―――
森本さんのお姉さんから寄せられていた好意をきちんと断るつもりでいた、と。


