HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
■Chairs.25
■Chairs.25
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水月から電話があったのは、あたしが電話をしてから五分後だった。その五分間はとても長く感じられた。意味もなくリビングの中をいったりきたり。
「大丈夫だよ、きっと。運転中で電話に出られないんじゃない?」と乃亜は言ったが、その表情はちょっと不安そうに曇っていた。
「乃亜の言う通りだよ、お前が過敏になってるだけだって」と明良兄も微苦笑で同情気味だ。
「それならいいんだけど」親指の爪を噛みながら俯くと、話題を変えようとしたのか
「あ、雅。可愛いストラップしてるね」とあたしの手に握られたケータイにぶら下がっているケータイの…薔薇のストラップに乃亜が触れた。
「あ、これ?今日岩田さんと買い物行ったとき、買ったの」
何となく“お揃い”と言う言葉が気恥ずかしくて言えなかった。
「へー、岩田さん…と、買い物?
変……じゃなくて珍しい組み合わせだね」と乃亜が目をぱちぱち。
「どんなやつ?」と明良兄も興味深そうに身を乗り出し
「うーん…明るいけど何かいかにもギャルって感じの子」と乃亜が答え
「へー、そりゃまた変な組み合わせだな」と明良兄もしみじみ言って頷く。
二人して『変』て何だよ。ま、岩田さんとあたしは全然違うタイプだってことは確かだけど。
「結構面白い子だよ」とあたしが追加情報を述べてるときだった。
TRRRR…
手の中でケータイが鳴った。
慌てて開くと
着信:水月
になっていて、あたしは再び慌てて通話ボタンを押した。
多くを語らず「もしもし?水月、無事?」と矢継ぎ早に聞くと、
『うん、大丈夫。無事だよ。ちょっと事情があって連絡が遅れてごめんね』と水月もすぐに謝った。どんな事情があったにせよ怒ってなどない、ただ心配だった。ただ、“事情”と言うのは気になったが敢えて聞かなかった。無事ならそれだけでいい。
いや、もしかしてあたしは知りたくなかったのかも―――その“事情”とやらを。
でも
「良かった」と心の奥底から安心してほっと息をつくと、ちょっとの沈黙の後
『あのね、雅―――』
水月が切り出し、何となくピンときた。
言いにくいと言った感じが伝わってきて、
水月の言う“事情”を語られると思って、あたしは送話口を押え
「ごめん、二階行ってくる」と乃亜と明良兄に小さく説明して、二人の返事を聞かずにあたしは二階の自室に向かった。