闇を纏う(恋愛ミステリ)
神崎は社長室で電話を受けていた

「そうか…わかった。引き続き頼む」
電話を切ると、葉巻に火をつけた

(どういうことだ?)
煙を見つめながら考える

殺しにしろガードにしろ、そこには必ず「依頼ルート」が存在する

神崎は当初、そのルートを辿れば、森純の影にいるプロが浮かび上がると簡単に考えていた

あれから二日

神崎の裏のネットワークをフルに使っても、いまだ正体が掴めない

神崎は慎重な男だった
必ず勝算を見い出した上で行動し、ここまで登り詰めてきた

森純の拉致失敗から二日

通常なら早めに行動に出て始末をつけるところだ
警察が介入する前に
部下からもそういった声が上がったが・・・

今回、警察の介入はないと神崎は判断していた

通報するなら権田の一件でとっくにしている

― 通報出来ない理由が?

謎が多い

“奴”からの催促も頻繁になってきている
一刻も早くROMを回収したいが、焦りは組織に大きなダメージを与えかねない

内線が鳴った

「うむ、ああ。海堂は・・・いない?」

電話を切る

(珍しいな、行き先も告げず、か)


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