森の中の




お腹も満腹になって、原っぱの上に敷いたシートに転がるあたしたち。


はあ~、いい気持ち。


「ねえねえ、ヨウ、見てあの子すっごく可愛いね!」

そう言ってヨウ兄の腕を掴むミユキさんの視線の先には、2才くらいの女の子が、うろうろしてはしゃがみ込み、何かを掴んで周りの大人に見せ回っていた。



「ほんとだな。」

って微笑み返すヨウ兄を見ていたら、
なんだか急にいたたまれなくなって、
あたしはそっと、立ち上がった。





当てもなくフラフラと歩いてると、
視界の端を白い何かがシュッと横切った。


あ、野うさぎだあ!

動物好きなあたしは、そのうさぎさんの後を追いかけたんだ。


なんだか、アリスになったみたい~‼
1人でニコニコしながら、予想外に俊敏な動きを見せるうさぎさんを無我夢中で追いかけたよ。





「どこ、ここ…。」



気が付くと、あたしは知らない森の真ん中に居た。



携帯、

「ポケットの中だ…」


自他ともに認める超方向音痴のあたしが、
この森から抜け出せるとは思えなかった。


どうしよう…
このままあたし、遭難して死んじゃうの?
やだよう!!‼‼





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