森の中の





「なあに?アレって。」

そう言ってミユキさんがヨウ兄の手元を覗き込む。


「「ワサビ!」」

あたしとヨウ兄、ワサビが大好きで、
どこでも、なんにでもかけちゃうくらい。
特に、焼肉にワサビはあたしたちの間では鉄板なんだ。


「お肉にワサビかあ~! おいしそうだねえ。」


うんうん、それで、
特に、おいしいのが…


「ミユキさん、これ!
玉ねぎにワサビ!すごく美味しいから食べてみて‼」


「ええっ玉ねぎにワサビ!?
しかもこれ、まだちょっと生だよ?」


「それがおいしいの‼」


うーん、と少し悩んだあと、ミユキさんはパクッとそれを食べて、

かっら~~~~い‼‼

と、ウルウルな目をもっと潤ませて叫んだ。



ほんとに?
美味しいのになあ。
なんでこの味みんなわかんないんだろ。

そう思いながら、パクパク食べる、あたしとヨウ兄。


ミユキさんには悪いけど、まだミユキさんにもヨウ兄の知らない事があったんだって、あたしはちょっぴり嬉しくなった。




って、ダメダメ‼
あたし、なに考えてんの?
ヨウ兄は、ただのお兄ちゃんなんだから…。






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