森の中の




でも、家に居る時のヨウ兄はちょっと違うくて、
よく喋るし、よく笑う。
鼻歌を歌いながらパンツ一丁で歩き回ることもよくあったし…


あたしとヨウ兄は好みがすごく似てた。
お笑いとか、音楽とか、服とか、
いいなあ、って思うもの、全部共有した。

この曲、良くね? って、
感想を求められるたび、
対等に認められてるような気がして、
なんだかわかんないけど、とにかく嬉しくなった。


他の女の子は知らない、
こんなヨウ兄を知ってるんだ、って
優越感みたいなのを感じてた けど、
それと同時に、絶望感もあった。

あたしはどう足掻いたってヨウ兄の妹以上にはなれないから…


自分が向けるヨウ兄への気持ちが、他のお兄ちゃんを持つ子と違うことに気付いてから、あたしはヨウ兄から距離を置きだした。
だって、それは、いけないことだから。
ヨウ兄が、受け入れてくれる訳ないから。
気付いちゃだめだって、必死に見ないふりをした、


そうしてヨウ兄が家を出て行って、あたしは自分の気持ちに完全に蓋をできたと思った。




そう、これでいいんだ。
あたしのあの気持ちは、アコガレ。
誰だってあんな人がお兄ちゃんだったら、
強く惹かれちゃうよね。
ヨウ兄の引力は、超強力だしね。






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